Free Traveler

山、川、海が育む自然を対象に、なまら旅して、なまら撮る。

巻機山〜田植えを知らせる上越の旅〜

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 2014年05月24日(土)

 新潟県群馬県の県境、三国山脈にある巻機山に行ってきました。標高1,967mある日本百名山です。

 魚沼平野から上越国境の数ある山の中へ視線を向けると、大きく穏やかで女性的な山があります。それが巻機山です。

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 上越国境の山々は、冬に日本海から運ばれる多量の雪に恵まれた豪雪地帯として知られています。冬に降り積もった多量の雪は春になると溶け出し、米どころとして知られる魚沼平野の水田に拡がり、田植えの時期を知らせる役割を担っています。

 今回の話は、米どころとして有名な上越地方の雪解けと春の田植えを感じた旅の記録となっています。

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 04:13am

 深夜に東京都を出発し、関越自動車道谷川岳PAで休憩をする頃には、夜が明け始めていた。

 1年で最も活動時間が長く、季節の移ろいを感じ取れるこの時期が好きだ。

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 塩沢石打ICから巻機山の麓にある清水集落へ向かうこと約30分、登山口である桜坂に到着した。

 日本百名山ということもあり人気のためか、すでに数台の車が停まっている。

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 05:36am

 巻機山へのルートは2つあり、難路のヌクビ沢と一般的な井戸尾根があり、今回は後者にした。

 念願の巻機山ということで、優しい心と静かな足取りでゆっくりと登ってみることにする。

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 巻機山は豪雪の山として知られており、道中の木々がたわんでいる光景がこのエリアの雪事情を物語っている。

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 スタート時、残雪の残る巻機山から静かに吹き付ける風が身体にあたり、少し肌寒い感覚があった。上着を一枚羽織って再び歩き出したが、季節は既に5月のため少しずつ暑くなり、すぐに脱ぐことになるのはいつものこと。

 歩き出して1時間ほどで薄暗い朝に終りを告げるかのように、山並みの向こう側から太陽が見え始めた。太陽の力とは不思議なもので、一気に夏を感じる暑さに変わった。

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 この時期の巻機山は、新緑に包まれたブナの原生林と残雪が魅力の一つにある。

 日本で見られるブナは雪の多い日本海側の地域に多いため、関東方面では観ることができない。そのため、僕たちのように遠くからわざわざ足を運ぶ人も多い。

 雪の上に立ち少し歩くと足が沈んだ。5月に雪の上に立つなんて北海道で生活をしているか、山を知らなければ考えにくいだろう。

 雪に足を取られながらも少しずつ歩を進める。ひんやりとした風が汗をかいた身体に当たり、とても心地良かった。

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 原生林を抜けると、巻機山の全容が見え始めた。山肌には雪がまだ残っている。

 昔から山麓で米農業を生業とする人々は、山の残雪具合から田植えの時期を把握すると前に聞いたことがある。上越の山々もその役割をはるか昔から担ってきたのだろう。

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 森林限界を超えたところで上越の山々が眺望できるようになってきた。ひときわ白い山は八海山?

 山麓から進む新緑が目立つが、山の上に残る冬模様が春ならではの景色で印象的だった。

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 谷川岳まで続く上越国境沿いの稜線。一度は歩いて国境を超えてみたい。

 新潟県群馬県を隔てる清水峠がこの上越国境の先にある。

 その昔、莫大な費用をかけて越後(新潟)と上州(群馬)を清水峠を経由して結ぶ清水街道ができた。しかし、雪崩や土砂崩れ等により程なく廃道となった歴史がある。

 上越線も当初はこの清水街道沿いに開通する案もあったが、最終的には今の三国峠側につけられた。もしもこのとき清水峠側に路線が開通していれば、麓の清水集落と巻機山を含む一帯の山々が、今よりも世間に知られていたかもしれない。

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 山頂方面はまだかなりの雪が残っている。これからあの雪の上を登り返す。

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 08:34am

 山頂かと思わせる9合目のニセ巻機山に到着。ネーミングがいいね。

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 ニセ巻機山を超えると、避難小屋があり2階から出入りできるようになっていた。

 巻機山山スキーのメッカとして知られており、何人かは宿泊してスキー滑走するようだ。ゆったりした時間の使い方は春の醍醐味だ。

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 八海山と魚沼平野を背に登る。

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 春は太陽からの紫外線が雪面ではね返り、長時間受けていると雪目(目の日焼け)などの症状に発展してしまうため、サングラスは必需品となる。

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 滑りたくなり大斜面。

 このときは板に乗る活動はしていなかったため、ひたすら登るだけだった。

 活動の幅が広がると、その見え方も変わってくる。

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 越後駒ヶ岳と中ノ岳が正面に現れた。

 巻機山も街からは山奥に位置するが、さらにその奥になるため世間的にはあまり知られていない。

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 山を走るトレイルランナーにも人気があるみたいだ。

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 稜線を境にして、斜面の風下に位置する群馬県側だけ雪が残っている。

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 巻機山まで走る笹道の中の道を進む。

 しかし、牛ヶ岳まで行くが、巻機山の頂上らしき場所がわからなかった。

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 巻機山にちなんで巻物にしてみた。

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 昼食をとっていると、虹のようなものが上空に見えた。

 なんという現象なのか。

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 10:40am

 昼食を済ませ、上越の稜線を歩いて下山を開始する。

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 頑張って登った分、下りは滑るように進む。

 アルペンスキーヤーのミヤは軽快に滑り降りていった。

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 上越の山は一つ一つのスケールが大きく、人間1人がちっぽけな存在だと認識させられた。

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 新緑の下山路。

 標高を下げるにつれて、猛烈に暑い熱波が襲ってきた。

 途中から耐えられなくて自然に走って下山した。

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 下山後、街を挟んで巻機山の反対側に位置する温泉に浸かり、春を迎えた越後の山々を眺望しながら身体を休めた。

 露天風呂からは、地元の農家の人たちが秋の米収穫に向けて田植えをしていた。今度来るときは秋に新米を食べに来てみたいな。

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 魚沼といえば、米も有名だけれど「へぎそば」という蕎麦が美味しいと聞いていたので、コシヒカリと一緒に食べていくことにした。

 へぎそばとはつなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使った蕎麦をヘギといわれる器に盛り付けた切り蕎麦のこと。

 すでに15時近かったこともあり、コシヒカリもすでに硬くなっていた。

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 食事を済ませ、本日の予定を全て無事に終えることができた。

 先ほどまでいた巻機山が嘘のように遠く感じる。こうしてみると、巻機山の名の通り美しく優しい山なんだと感じる。

 遠目から観る巻機山の姿に見惚れつつ、僕たちは関越トンネルを抜けて上越国境を超えた。

 

巻機山を旅して

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 巻機山を訪れたこの旅は、数年経った今でも特別で思い出深い記憶が残っている。

 春の雪上を歩いたのもこのときが初めただったため、その印象が色濃く残っているのかもしれません。

 日本アルプス八ヶ岳など、険しく急峻な山々と異なる大きくて懐の深い山々が、上越には多くあることをこの旅で知りました。

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 ブナの新緑、春の残雪どちらもこの時期ならではの楽しみであり、魅力なんだと感じます。

 今回は魚沼平野で春の田植えを観ることができたので、次来るときは秋の収穫で新米を食べに来てみたいと思います。

 

巻機山の位置